宮廷の諍い女のこと(ねたばれあり)

というわけで、一番ハマってるドラマのはなし。まあ、今週で終わっちゃうんですが。

原作は、中国のネット小説「甄嬛传」で、時代を特定しない架空の王朝の後宮のお話なのですが、ドラマでは17世紀清朝雍正帝の時代になっています。それに伴って、登場人物の名前も雍正帝時代に合わせて変更されています。

実は原作小説を読もうとしたのですが、頭の方だけ読んで挫折しました。が、そこまででもだいぶ違うというか、原作では皇帝は25歳くらいと書いてあった(と思う)のが、雍正帝は即位が45の時なので完全にオッサンなんですよ。ドラマ見てて「なんでこんな美女揃いなのにこんなオッサンに」という違和感は拭えません。

まあ、なんで雍正帝の時代に設定したのか、というと、そのちょっと前に中国で大ヒットして「今後10年はこれを超えるドラマはできない」とまで言われた「宮廷女官ジャクギ」(原題「歩歩驚心」)が雍正帝の前の康熙帝時代から雍正帝時代にかけてを描いていた、ということでそれに乗っかった、というようなところではないかと。ま、それは当たったというか、ジャクギを超えた、と言われたりしてるわけですが。

で、さて。ストーリーは、普通の結婚をしたかった主人公の甄嬛が皇帝に見初められて後宮入りし、陰謀に巻き込まれたりあれやこれやあって、最後は皇太后になるというものなのですが、日本の大奥なんて比べ物にならないくらいのドロドロした陰謀の世界で(中国ですから「拷問」とかふつうにあるし)、まあ善人では生き残れないってことなのでしょう。

このドラマの最大の見所は、衣装と髪飾りです。とにかく綺麗。基本後宮の話なので出てくるのもほとんど女性なのですが、またそれが美人そろいで(私の一押しは欣貴人)、

それと、清朝ってことは辮髪。皇帝の弟で果郡王っていうのが出てくるのですが、これがまた辮髪イケメンなのです。あたしはこれで完全に辮髪萌えになりましたよハイ。

ちなみに、貴人というのは妃嬪の位のひとつで、郡王っていうのは皇族の位の一つ(親王の下)です(さらにその下が貝碌(べいれ))。

えーとこのドラマには批判もあって、 まあ日本でもよくある「原作派対ドラマ派」みたいなのもあるんですが、最近話題になってたのは「甄嬛传は悪い道徳を教えている。大長今(邦題「宮廷女官チャングムの誓い」)は正しい道徳をおしえている」というもの。確かに、チャングムはいつでも正義の人で(時々自分の才気におぼれて物事を見誤るところはあるんだけど)、それに比べて甄嬛はいろんな策にはめられたりはめたりしていて、そのせいで人が死んじゃったりもしてるというアレなんですが。

ただ、それって重要な見誤りというか、そもそもこのストーリーの主題って、たったひとりの想う相手と添い遂げたいと思っていた少女が、自分の意思とは関係なく後宮の争いの中に巻き込まれて、それが家族の安否にもかかわってしまうために、陰謀の中で勝ち残っていくしか生きる道がない、という悲劇を描いているわけで、それを現在の道徳観と照らして批判するのは、ホントに馬鹿げた話なんです。

というわけで、DVDもでてますし、ぜひ

2019/5/29追記
あーあれからまだ6年弱しかたってないんだ。ずいぶんと昔な気がする。