孤高の皇妃(独歩天下)思いきりネタバレ

というわけでアマプラで透析中に見たシリーズ、次は孤高の皇妃です。

「諍い女」や「後宮の涙」で思いきりイヤな役をやっていたタン・イーシンさん主演の明末~清初、ヌルハチからホンタイジの時代、女真族一の美女と言われたトンガことブシヤマラのお話、というか、現代女性が彼女を主人公にしたラブストーリーを書いた、というお話。

まあつまらなくはなかったけど人に勧められるかというとどう考えてもあかんやろ、なので、これ読んだ人はドラマ見なくてもいいくらいに書きます。

どSっぽい編集者と喧嘩しながら女性作家が時代小説をかきますよ、的な導入部があって、

第一部が
ブシヤマラがヌルハチに嫁入りするという名目でヌルハチの城にいて、ヌルハチの息子ダイシャンと愛し合うようになるけどヌルハチに逆らえないダイシャンの態度に別れを決意したり、実家に帰ると兄が有力部族への嫁入りを勝手に決めていて嫁入りするものの怒ったヌルハチがその部族に戦争を仕掛けて部族がヌルハチのところに吸収される、というのが何回かあって、そのうちブシヤマラは年下のイトコのホンタイジと愛しあうようになるけどホンタイジヌルハチにバレると命がないのでブシヤマラの侍女がホンタイジに嫁いで、で侍女が懐妊してショックでブシヤマラは実家に帰ってしまうがそこからまた嫁がされた先で疫病にかかり崖下に投げ捨てられて死ぬ。

ここで現代パートが入り、第一部が好評だったので続編を書け、という話があって。

第二部が
崖から落ちたブシヤマラが目覚めるとそこはホンタイジの別宅で、そこでモンゴルの女性「歩悠然(ちなみにこれは現代パートの女性作家の名前)」としてホンタイジの側室としての生活をスタートする。ホンタオジの他の夫人(元侍女除く)から意地悪されたりしながら、なんだかんだでヌルハチが死んで、正体がバレてヌルハチに殉葬されそうになったけどうまいこと逃れて、ホンタイジが後継の大ハーンとなったりして幸せにくらしましたとさ、かと思いきや刺客に襲われて歩悠然死亡。

ここでまた現代パートに入り、女性作家がガス中毒で死にかけて病院に運ばれ目が覚める。小説の続きがどうなったのかを見ると、どうしても本を出版日に間に合わせたかった編集者が、作家が倒れている間に勝手に歩悠然が死ぬ結末を書いてしまった。あんなところで話を終わらせたくない、と更に続きを書き出す作家。

で第三部、
再び生き返った歩悠然、今度は戦場の死体の中から目覚めたのだけど、ホンタイジを探す途中でドルゴンに見つかってしまう。ドルゴンが自分の嫁にしようとするがなんとか逃れてホンタイジのもとへ。そして今度はホルチン部の海蘭珠としてホンタイジに嫁入り、末永く幸せにくらしましたとさ。

で現代パート、小説の大ヒットをお祝いして終わり。

 

なわけですが。これ個人的にはストーリー的に致命的な欠陥があると思うんですよ。なにかというと、第一部と第二部の間、崖から落ちたあといきなりホンタイジの別宅、っていうのはいくらなんでもナシでしょ?ってこと。普通だったらそこで、記憶を失ってたのを取り戻したりとか、親切な人に助けられてその人と結婚しそうになったりとか、ホンタイジのもとに戻るにしてもなにかしらのプロセスがあってのものでしょ。そういうの全部すっとばしていきなり目が覚めるとホンタイジが目の前にいるの、なんかおかしいし。

第二部から第三部のつながりもおかしいというか、一応第二部の時は「崖から落ちたけど命は助かってた」話だから中国時代劇あるあるなわけだけど、こっちは腹刺されて死んで、葬式もやってて、そこから何年かたってていきなり生き返るのだから別に人間に乗り移るというか肉体的には別人なわけですよね。
でもって1回目死ぬ問が34歳なんですが、第二部がだいたい10年間くらいの話なので2回目死ぬときは44くらいのはずで、でも第三部は肉体的に別人なので若返っているわけです。それってどうなのよと。
そして第三部のストーリーはホントにあからさまな付け足し感があります。第二部の最後がああいう終わり方になってしまい作家が納得いかないので続きを書いた、というのはわかるんですが、ドラマを見る側から言わせてもらえば、現代パートなんて付け足しなんだから、そっちの都合でこんな話にしないでよ、と思います。

ついでにいえば、ブジヤマラがなぜか漢詩や漢語がわかったりとか、ホンタイジが大ハーンになるのを知っていたりとかの、あたかもタイムトラベルものみたいな感じをにおわせる場面がいくつかあるんですが、それが何かの伏線になってるかというとそういうわけでもなく(現代女性作家が書いたフィクションのお話、ということを再確認してるくらいの意味しかない)、なんか中途半端なんですよね。

ここらへんが致命的な欠点だと思うので、見始めたころ気になっていた「どう考えてもダイシャンのほうがホンタイジより若く見える」とか「女真族一の美女の割にはどっちかというとファニーフェイスで美人ではない」とかの欠点は結構どうでもよくなります。キャラの造形とかドラマとしての作りとしての良しあしを云々する以前に、そもそものストーリーというかコンセプトから失敗でしょ、これ。

結構それなりに名前の通った演者もいるし、そこそこお金がかかってるドラマだとは思うのですが、これホント、見る価値的にいえば「王者清風」と肩を並べるくらい「見なくていいよ」なドラマだったと思います。

思い出したので追記(2020/10/14)
トンガはホンタイジより相当年上、まあドラマ内でもホンタイジが生まれた時にトンガが名付け親になってるのだけど、先にヌルハチに嫁いでいた叔母のもとにヌルハチに嫁がされる為に同居してたとかそういう理由で、つまり当時子供だったとしても嫁入り前提で親元を離れる程度の年齢(たぶん12歳以上?)だったってことですよね。で、後半になると老婆とか呼ばれたりしているし年齢的に子供が埋めないという話もちらと出てくる。ここらあたりは目新しいかな、と。