如懿伝へのツッコミとかその他。

「なお、原作小説はテレビドラマ『宮廷の諍い女』の続編であるが、テレビドラマ版は続編的な位置づけではなく、一部設定が異なる。」とウィキペディアの「如懿伝」に書き加えたのは私なのですが、いやホントここ、結構個人的には気になっているところ。

 

そもそもが小説の甄嬛伝が架空の王朝の話だったのを、ドラマ化した時に清朝雍正帝の時代の話にしたもので、ドラマが大絶賛だったからなのか続編小説は清朝乾隆帝時代の話として書かれでいるわけですが。そうしたらその続編小説をドラマ化する場合はドラマの甄嬛伝の世界線上に作られると期待しちゃうわけじゃないですか。だけどそうはならなかった。

甄嬛はもともと、愛する人と添い遂げたいという平凡な幸せを望む、聡明で善良な、義と情を重んじる少女だったのですよね。それが当初は自分が後宮でつぶされないため、そして家族を守るために強かにならざるを得なかった、そういう悲しみが甄嬛伝の最大のテーマだったのだと思います。

だからね、如懿伝での皇太后(甄嬛)にも、そういう人物像を期待してしまうわけですよ。でも、少なくとも今のところ、そういう感じではない。智謀に長け権力欲の強い人という面ばかりがクロースアップされているような気がします(まあこの先どうなるかわからないけど)。

※そういう点ではむしろ、延禧攻略の皇太后のほうが情と義にあつい感じがする。

そういえば日本語字幕ではキャスト標記が鈕祜禄氏となっていて鈕祜禄甄嬛にはなっていないのですよね。

 

個人的に違和感が大きかったのは、皇太后鈕祜禄氏が猫を膝に抱いて撫でているシーンでした。甄嬛は猫が苦手、というのは甄嬛伝では何度か出てくるエピソードで、如懿伝のドラマ版を作った人たちもそのことは知っていたはずだと思うけど、「あれとは別の話」ということを強調するためにあえて猫のシーンを入れたのか、それとも原作者が(甄嬛が猫が苦手ということを忘れて)そういうシーンを書いていたのか、確認はしていませんがなんか残念な気がしてます。

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甄嬛伝の原作をちらちら読み進めているのですが、中国語wikipediaで小説のほうの甄嬛伝について調べると、実は原作小説では沈眉荘さんと温実初さんとの間の子供は男の子で、その子が皇位を継ぐ、のです。

ドラマでは雍正帝が死にかけているときに、甄嬛が雍正帝に向かって「眉荘さんと温実初の子供を大切にしてくれて天国の眉荘さんも喜んでいる」みたいなことを言い、それで雍正帝が怒りのあまり興奮しすぎてこと切れるわけですが、ここは原作どおりならば「大切にしてくれて」ではなくて「皇太子にしてくれて」なはずなのです(今原作を確認したら確かにそう書いてありました)。だからこそあそこまで激怒したわけですよ。

単に自分の子ではないものを自分の子だと偽られたことへの怒りを呼び起こすためであれば、あそこで眉荘さんと温実初を出さずに自分と皇弟との間の子供のことを言えばいいのに、と思っていたけれど、なるほどこういうことだったのね、と思いました。

とまあ、いまだにこういう掘り下げところがあるのが甄嬛伝という作品のすごいところだなあ、と。