風中奇縁 看完了。

というわけで風中奇縁、見終わりました。

まず感想。いや新年早々、なんてものを見てしまったのだろうかと。これで今年見るドラマについて、評価のハードルがとても上がってしまうのではないかと。長さ的には宮廷の諍い女よりずっと短いというか半分以下なのですが、この長さにしてはスケール感があるというか(砂漠だから?)。
あえて突っ込みどころをさがすなら、登場人物がよく昏睡になるなあ、という感じなのですが、まあそこは仕方ないのかな。
(CGしょぼいとかBGM使い回しかよとかやっぱり最後オオカミ出てくるのねとかはお約束なのでおいといて)

時代は前漢武帝の時代(なんですがいろんな事情で固有名詞は王朝の名前や歴史上の個人名などは架空のものにされています)。
オオカミに育てられ、その後一時砂漠の辺境民族の中で暮らしたものの再びオウカミと暮らしている小月
皇后の姉の息子で皇帝の信頼も厚い将軍の衛無忌
謎めいた豪商で皇帝の外甥*、下半身が不自由な莫循(九爺)
小月がまず九爺と、それから衛無忌と砂漠で出会うことから物語は始まります。そして彼女は都へ行き、いろいろあって九爺のサポートを受けて店を経営することに。

(*外甥には・妻の兄弟姉妹の子・嫁した姉妹の子の二つの意味があるようですが、どっちなのか私の中国語力では理解できませんでした)

ずっと九爺に想いを寄せていた小月は拒絶され、諦めるために都を去ったところで衛無忌の軍に帯同することになるのだが、初めて会った時からずっと小月に一途だった衛無忌と結ばれ、彼の気持ちを受け入れる。一方、小月を拒絶したはずの九爺は実はやっぱり小月を深く愛していたので、都から消えた小月をずっと探していた。やがて衛無忌の軍と一緒に都に戻ってきた小月が衛無奇と愛し合っていることを知り、九爺は小月の幸せのために見守り支えることを決意するのだけれど、皇后の甥と何の身分もない娘のがすんなり結婚できるわけもなく…。

というわけで、簡単に言えば三角関係、というかヒロインから選ばれた男と、選ばれなかった男の話です。前半で自分の気持ちが通じないどころか他の男に夢中な小月を見つめる衛無忌の表情が切ない。そしてそれ以上に、自ら拒絶しておきながらやっぱり小月を諦めきることができない九爺の哀しみがとても心に響きます。

いやドラマみながらこんなに何度も泣いたのってもしかしたら初めてかもしれない。

以下ネタバレ。

小月は衛無忌と生きることを選ぶのだけれど、九爺にとっては小月が幸せに生きていくことが自分の幸せなので、最後小月が衛無忌とともに屈託なく笑って生きていることによって、九爺は報われている、と思うべきなんでしょうね。何もかも失った九爺だけど、それでも小月の面影が心にあれば十分なのだと。

でも、でも、九爺の愛がそこまで深いものであることを、お前らは理解できてるのか小月に衛無忌?と問いただしてみたい気もします。だって彼の失ったものはあまりに大きいじゃないですか。果たしてそこまでする価値のある相手なのか小月は。そういう意味では結末には納得できていないのかもしれません。

(まあ、衛無忌も大司馬の地位も権力も栄華も擲って小月と砂漠で生きることを選ぶわけだけど、彼はもともと范蠡の生き方にあこがれていた人なので、そこらへんについては紆余曲折あったにせよ希望どおりというかそれ以上のものを得ているんじゃないかと)

なんか原作とは結末が違うとかいう話も耳にしたので、機会があったら原作も読んでみたいと思います(がいまだ甄嬛传を1巻さえ読めていないのでいつになることやら)。

いつも演者の話のほうが多いのに今回はストーリーに言及してるのは、そのくらい入れ込んじゃったからなんですが、演者についても。

名前は知っていたけれど動く姿は初めて見たエディ・ポンさん、割と子犬系の顔なのに目が笑ってない感じとか、喜んだり笑ったりしているときより怒っている時のほうが魅力的な人ですね。

胡歌さんについては、この前見た轩辕剑之天之痕やその前に見た仙剑奇侠传3、今見てる射都英雄传とはまるで違うタイプの、身体的には弱い役だったわけですが、こういう役のほうがあってるんじゃない?と思いました。(天之痕ではゴールドメタリックゴリラだったんですよね。えらい違いだ)

あと、刘诗诗は、役によって野沢直子っぽかったりそうじゃなかったりするんですが、今回は割と野沢直子っぽいほうでした。

追記

九爺は、全てを手放すことに寄って最終的には勝ったのかな、とも。つまり、小月が九爺のことは忘れて幸せに生きて行くのならばそれは九爺の望み通りだし、もし九爺を忘れられずに心の何処かに想いを残していたとしてもそれもまた九爺にとっては嬉しいことなはずで。つまりどっちに転んだとしても九爺にとっては報われることなのではないかなと。もちろん衛無忌が負けたのではなく、愛する家族との自由な未来を手に入れた彼は間違いなく勝者。まあ勝ち負けの問題じゃないけど。

あと、このお話で一番報われないのは、李将軍だと思う。

さらに追記

モデルとなっている前漢武帝ですが、母である王皇太后は景帝の後宮入りする前に金ナニガシという人と結婚していた、というのは「美人心計」にも出てくるお話。で、どうやらその時に娘を生んでいて、つまり武帝から見ると異父姉がいたことになるらしいです。そこらへんがこの「外甥」という設定に関係してくるのかな。
(外甥の定義によれば、衛無忌も皇帝からみると皇后の姉妹の子なので外甥ですよね)